パート掛け持ち 雇用保険
パートやアルバイトで収入を得ている人の中には、配偶者の扶養の範囲内で働いて、社会保険には加入しないようにしている方がたくさんおられます。しかし106万円や130万円の壁を気にして働くより、いっそのこと社会保険に加入するくらいのペースで働いた方が、結果的に家計にとってもプラスになりますし、将来受け取る年金も増えます。
家族の扶養に入っていない場合は、国民健康保険料や国民年金保険料は全額自己負担ですし、将来貰える年金も少ないので、社会保険への加入は大きなメリットと言えるでしょう。また、私的な事情で病気やケガをした際も要件を満たせば傷病手当金が支給され、さらに社会保険に加入することになれば、多くの場合は雇用保険も加入対象になります。
失業給付受給中もアルバイトは可能ですが、収入を正直に申告しないなどの不正受給が発覚すると厳しい罰則が適用されるので注意が必要です。ハローワークで失業給付の受給手続きを行う際などに、「雇用保険は積立貯金ではありません」「不正受給は必ずばれます」と厳しく注意を促されます。
雇用保険も、退職した場合の失業給付や育児休業中や介護休業中に給付金が支給されるなど、多くのメリットを受けられます。要件に該当したら適切に加入しましょう。
事例3
A社・・・社会保険加入要件を満たしている
B社・・・同じく要件を満たしている
この場合、A社とB社で社会保険に加入します。しかし、健康保険証はどちらかの会社1枚で、雇用保険もどちらかの会社でしか加入できません。一般的には収入の多い方の会社での加入となります。
雇用保険加入の条件とは、「1週間の所定労働時間が20時間以上の場合」および「31日以上の雇用が見込まれる場合」です。
106万円の壁は、「正社員が501人以上」「月額8万8千円」等の要件を満たす際に、社会保険に加入しなければいけない要件なのに対し、130万円の壁は「社会保険上の扶養から外れる要件」です。社会保険は資格取得時に「取得日からの1年間で130万を超える見込みかどうか」でまず扶養の対象者かどうか判断します。その上で、「これからの1年間で130万を超える見込み」となった時点で扶養から外れます。130万円には、パートやアルバイトの残業代、通勤手当、賞与、または出産手当金なども含まれます。
大熊社労士: こんにちは。宮田部長: 先生、先日はありがとうございました。今日は、前回の続きで2か所で働く場合の雇用保険の取り扱いについて教えてください。大熊社労士: はい、わかりました。雇用保険は、①週20時間以上の勤務、②31日以上の雇用見込みの2つを満たしている場合に加入することになっていますが、2か所ともその要件を満たした場合でも両方では加入せず、いずれか主たる賃金を受ける方で取得することになっています。雇用保険は社会保険と取り扱いが違います。福島さん: そうそう、ダブルワークしていることを会社が知らずにハローワークで雇用保険の取得の手続きを行おうとしても、すでに他の会社で取得している場合は重複加入できないようになっているんですよね。大熊社労士: はい、そうです。福島さんは実務をされているから、よくご存知ですね。宮田部長: ふむふむ。そうすると社会保険は両方で加入するけれども、雇用保険は主たる会社で加入ということですね。わかりました。大熊社労士: ちなみにの話ですが、ダブルワークで雇用保険に加入していた会社を退職した後、もう一方の会社は週20時間以上で勤務し続ける場合は、その会社で雇用保険の取得をすることになります。そのような場合は、主たる会社を退職したことを勤務している会社に伝えることが必要になります。福島さん: 確かに、他の会社を辞めたことを本人から知らせてもらわないと、会社は分からないですからね。宮田部長: 本人が会社に言わないでいると、ずっと雇用保険は未加入のままになってしまうってことか。それはいけないな。福島さん: さかのぼって雇用保険に加入できるのは2年前までですから、それまでに未加入であったことが判ればいいですけれどね。大熊社労士: 少し話は変わるのですが、雇用保険の資格の喪失のことについて、確認をしておきたい思います。福島さん:よろしくお願いいたします。大熊社労士: 一般的には、退職をしたときに離職票を発行して、その後失業給付を受給しますが、雇用保険の離職票を発行するタイミングとしては、退職をしたときだけでなく、労働時間が週20時間未満となったときもあります。このときも資格喪失の手続きとともに離職票の発行ができますが、実際に失業給付の受給を開始せずに1年経ってしまうと、失業給付を受ける権利がなくなってしまいます。宮田部長: え!なんで!?離職票があれば、失業給付はもらえるのではないですか?だから、実際に退職したときにハローワークに行けばいいんだと思っていました。大熊社労士: 確かにそう思われるかも知れませんが、失業給付は原則として退職した日の翌日から1年以内にもらいきらないと、もらう権利がなくなってしまいます。ですので、離職票を発行しても、「週20時間未満で働き続けているから、失業給付はまだもらわない」としていると、実は失業給付が受けられなくなっていたということも起こりうるのです。宮田部長: なんだかややこしいですね。福島さん: それで、宮田部長、奥様はダブルワークされるのですか?宮田部長: 本人はやる気のようですが、今日の雇用保険の話を聞いてから、最終決めるって言っていました。大熊社労士: そうですか、しっかりご検討ください。宮田部長の家事フォロー計画も含めて!(笑)福島さん: 宮田部長の家事フォロー計画は、私もお手伝いしましょうか?(笑) 宮田部長: いやいや、大丈夫ですよ、ちゃんと家事は手伝いますから!
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雇用保険は、基本的には二重加入は認められていません。
ハローワークにて雇用保険の給付手続きを行い、受給資格が決定した日から通算して7日間の待期期間中は、アルバイトができません。この期間は、失業状態でなければならないからです。ほんのわずかな収入でも得た場合は、待期期間が延長になってしまうので気をつけましょう。
届出・手続きに関しては、2022年8月まで日本年金機構から適用拡大の対象になることを知らせる通知書面が届きます。2022年10月5日までに、新たに雇用する被保険者と同様、「被保険者資格取得届」を提出することになります。
不正受給が発覚する理由の一つが、雇用保険への加入です。自分では単なるアルバイトのつもりでも、仕事先が「条件を満たしているから」と雇用保険への加入手続きをすることがあります。雇用保険を管理しているのはハローワークなので、すぐに発覚します。
アルバイトであっても、雇用保険加入条件を満たすと「就職した」と見なされ、失業給付の支給はされません。
雇用保険などの社会保険制度は、ややこしく感じる人が多く、中にはなおざりにしている人もいますが、少し時間を割いて理解しておくだけで、かなりのメリットを受けられる制度です。パートであっても、該当する量の時間働いている人、もしくは働きたいと思っている人は、ぜひ制度を詳しくチェックしてみて下さいね。